語り継がれる書物

ここ最近の手記に関していくつか同様の質問をいただいているので、その返答を兼ねてまとめておこう。

人間は「身体」と「言葉」でできている

まず「人間」だが、動物や植物などと違って「言葉」を使うわけだが、それは話すということだけではなく「言葉によって世界を捉えている」ということだ。つまり動物と人間では同じ場所にいても、まったく見えている世界が違う。(本当はこの説明は正しくはないが、話の理解のために一旦そうしておく。その理由は後述する)

これは人間同士でもそうであり、たとえば広い視野でみれば、どの国やどんな時代に生まれたかで「人間の世界」は違う。また尺度を狭めれば、同じ家で暮らす家族それぞれでもみえている世界が違う。あなたが不幸だからといって、他の家族もそうであるとは限らない。だが不幸が「伝染」すれば同じ世界に近づくことになる。つまり伝染するということは、各々の言葉の世界が書き換えられたということになる。(だがこの説明も動物と同様に、後述するより深い理解へ必要なステップとなる)

さて動物と人間は見えている世界が違うが、動物には私たちが驚くような生物的な特性がある。たとえば人間には聞こえない範囲を犬は聴き取ることができるし、虫たちは人間の見えない波長を捉えることができる。これは彼らが優れているのではなく、人間が言葉によって本来のその能力を塞いでしまっていることにある。言葉に慣れ親しんでしまい「言葉の世界しか」体験できていないのである。

人間の世界に閉じ込められる人間

だから人間は自分たちの可能性を広げるため、言葉の世界をどんどん開拓してきた。現代の私たちから遡るならば、最も近い大きな節目は16世紀ごろとなる。中世まで長らく続いていたキリスト教主体の王権や宗教的権威が弱まり、理性主義(人間主義)への変革によって、科学的な「解釈」が発展してきたためである。科学の前提にあるのは「この大いなる自然をいかに説明できるか」そして「自在に操れるか」だ。

だがこんなに愚かなことはない。本当にそこにあるものを、わざわざ違うふうに置き換えてみているのだからね。しかも置き換えたものの中で葛藤し始める。「どうして現実はこうなのか?」「私たちは何者なのか?」といった具合だ。

科学というのは実験と結果による裏付けがその前提にある。水は熱を加えれば蒸発するのは自然科学であり、政治やお金について探求するのは社会科学、人間の思想や精神を探求するのは人文科学となるが、それらは「誰もがそうだと認める証拠がある」という主張のもとに「科学」としてなされる。

だから科学といっても小難しい学問だけを指しているのではなく、恋愛も経済も労働も、つまりいまの私たちが文化だとしているものすべてが科学的根拠が土台にある、いわば近代の科学以後の世界とは「説明の世界」であり、現代の形態は人類史上においてつい最近できた流行のようなものでしかない。つまり科学というのは人類における「現時点での常識」のことをいうのである。

時代のものさし

もちろんキリスト教以前、たとえば古代ギリシア文化などでもピュタゴラスやアリストテレスをはじめとする、自然世界の解釈者は存在していた。ただ彼らの功績を「現代の私たち」が知ろうとするとき、どうしても「現代のものの見方」で彼らの探求を追うことになる。このパラダイムがいま話しているところの「現代的な科学的解釈」としているものとなる。

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