アー・ユー・エクスペリエンスト?

フランシスベーコンの作品
哲学者ではなく
サイコな方のベーコンだよ

肉屋で吊された肉
自分もそれと同じ
ただの一個の物
彼はそう感じていた

道に落とされた排泄物
それと自分は何が違うのか

彼が彼の人生で掴んだ「答え」とは
死はカタルシスであり
生きながら死を観ることで
肉体が物としてそこに置かれる
死を観ることで生が沸き起こる
そういうものだ

つまり肉体と精神は別のものだと
わかり始めていた
肉体の中に精神が宿るのではなく
意識の中に肉体が蠢いているのだ

この筆を動かす腕は一体なんなのだ、とね

虚栄心やら場当たりな生き方の行き着く先
シガラミが引き起こした人生の面倒事
そんな荒波に巻き込まれていく人達
若者から老人までたくさんいる

借金取りに追われ
強制的な労働をやらされ
どうやらお先は暗いようだ

そこまでして世界が
ありもしない「あなた」に
語りかけるわけだが
あなたはまるで気が付かない

ただ肉体が線路を歩き
ただはねられている

一体何がはねられたのだろう
一体何が終ったのだろうか

あなたはそれでもいるのだ
目の前にとまったハエを潰したように
あなたの肉体が飛び散っても
それを見ているあなたはそこにいる

一体何を失わないようにしていたのだろう
一体何を恐れていたのだろうか?

同様に現存のすべてのアートは自衛的である

「存在」という
そこにあるのに何かよくわからないもの
わからないから恐怖を感じる
放っておきたくても
いつも付きまとう
その疑問
疑問への追求
自らの内から沸き起こる、
それを解決しようとする何かが起こる
カタルシスの最初の小さな波だ

だから自分なりの解釈をしてみる
その波がなんだかわからない
妙な違和感
そこで未知に対する防衛手段をとる
そうして盾の隙間から覗いた者が
アーティストとなる

ピカソもベーコンも
ゴッホも同じ

チャーリーパーカー
ジミヘンドリックス
ウパニシャッドにタントラ

音楽も哲学も
あらゆるアートの根源が「それ」だ
辿ればどれも同じ源流に突き当たる
つまりすべて「同じもの」である

ハードなビートにキャッチーなメロディ
クラブDJが群衆を引っ張っていく
日頃の自意識はどこへやら?と
あなたはその光景に溶けている
群衆とひとつになっている

躍動する肉体
隣の知らない人と頭が空っぽになって弾ける
あなたはムードそのものになる
赤いときは赤くなり
青いときは青くなる
いつものアイデンティティや
頑固な主張はない
今日のお昼頃のように
他とは違う色彩を放とうとはしていない
完全なる服従
受容

名前もない
性別もない
人間でもない
ただそこに在るだけの「何か」となる

すべては後のこと

つまり我に返ったとき
「ああ、無我だった」と知る

無我であるとき
無我であることを知ることはできないから
感じた経験を思い出してカタチにしてみる

みんながそうしてきた
なんだかわからない「それ」をカタチにする

ポップシンガーが普段「愛」と呼んでいる
よくわからないもの
その張り裂けそうな胸の内
そのトロリと溶けてしまいそうな甘い味
それをカタチにする

カタチはそれそのものにはならない
ただひとつの表現でしかない

すべては自分を
失いそうになることに対する自衛手段
だが自分を失っているとき、
そのことを知らない
熟睡のようにね

あなたは熟睡を恐れ
様々な計画を練る

何かを残そうとする
自分の生きた証を岩に刻む

私はここにいるのだと
大声で叫ぶ

それでいい

あなたの経験してきたこと
それがあなただ
経験をしている人があなたではない

経験があなたなのだ

 


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  1. 藤澤 より:

    涅槃さん

    経験があなたなのだ

    この言葉はとても強力ですね。
    自分に推進力を与えてくれます。
    ジミはわかっていたのでしょうね。
    彼の旋律に浸るときだけは思考がなくなります。

    • 自分 -涅槃- より:

      >>藤澤さん

      あなたがジミヘンドリックスを調べたことで
      または知っていたことで
      その手記は光を放ったのだ

      そのように日常を置き換えてみなさい

      すべてあなたに関係のあるものしか
      出てこないのだよ

      ずっと思い出してごらん
      理由や価値判断を加えずに
      ただ体験してきたシーンだけを振り返ってごらん

      すべてあなたに関係のあるものしか
      やってこなかったはずだ

      「いまとなればそうかもしれない」

      あなたはそういうかもしれない
      だがね、過去というものは
      いま作られるのだよ

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