出社や買い物に
あなたは見慣れた道を歩く

だが知ってるかな?
この地上にはもともと道などなかったんだ

人や動物がそこを行き来するから
道が生まれた

やがてその道を中心として
店や宿が現れ
人はその道が”居場所”となった

旅行もそうだね

なにもないところではなく
なにかあるところ=道があるところを
私たちは観光する

ところがこうして
常に道を頼りにしているゆえ

私たちはどこへ向かうにも
なにをするにしても
まず”道”を探そうとしてしまう

社会的に安定するには
学歴や肩書が必要だとか
年収がいくらなければならないとか

成功するにはそれなりの段階を
踏まなければならないとか

つまりその道を歩まねば
安定や幸せになれないと思い込んでいる

 

1

そんなわけだから
道のないところに立たされると
とても不安になってしまうわけだ

会社が倒産したり
約束されていた保証が失われたり

いわゆる「お先真っ暗」というのは
歩むべき道を見失ったということにある

道さえあれば
たとえ貧しかろうとも
それに寄りすがれていた

もちろん道を失うまでは
そんな人生を呪っていたが
だがその道さえ失ったとき
みえない幸せがあったんだと気づく

つまりみえない幸せに支えられながら
みえる幸せに手を伸ばそうと
いつも苦しんでいたんだ

だから道を見失ったとき
どう動けばいいのかさえわからず
あなたは途方に暮れてしまうことになる

だけどもまさにこんなときにこそ
人生を本来のあり方に転換できるのであって

つまり道のない場所というのは
本当の幸福をつかめる場所に
立っているということでもある

 

2

道なき荒野に放り出されたとき
あなたはどちらに進んで良いかわからず
様々な存在に出会うたびに「道はどこか」と
尋ねてまわるようになるだろう

たとえば
いまこの文章を”読んでいること”も
それは私に道を尋ねているんだ

同様にあなたのそばには
“良くも悪くも”友人や家族の姿があったり
テレビをつければ「いいなあ」と思える
知らない人たちの姿が映っていたり

書店にいけば
そんな”あなたに向けて”書いてくれている
本の著者たちと出会う

そうしてなんらかの存在が
あなたの目の前にあること自体が
「私はどうするべきか」という
問いかけの”現れ“にある

朝の静けさに気づいたときも
やはり”道”を尋ねているんだ

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