トラブルを愛する
あなたがトラブルを避けたいのは
ただでさえ先々が不安なのに
そこに余計な問題を抱えたくないからだ
だけどもそうして
いかなる厄介事も降ってこないようにと
人との関わりを極力避けて
また失敗を恐れて何もせずにいるのは
平穏無事を通り越して
人生はとても味気ないものになる
たしかに何かと関わるだけ
いろんな気苦労は出てくるが
よい思い出もたくさん残るものだ
わざわざトラブルを起こせという話じゃないよ
そうではなくて
起きてもいないトラブルに怯えて
直線的な”近道”ばかり進んでいては
そもそもなんのための人生か
わからないままになってしまうということだ
天から与えられた使命
ではどのように人生に向き合えばいいのだろうか
それはトラブルが勃発しても
それを愛せるようであればいいんだ
あなたがトラブルを愛することができたら
人生は180度変わることになる
なぜなら”遠回り”ができるからだ
ケースはいろいろあるけども
たとえばあなたが車を運転する人で
出先で故障したとしよう
経験したことのある人ならわかるが
なかなかのドラマを味わうことになる
向かうはずだった仕事にしろ用事にしろ
一切の予定が破綻してしまい
なにより車を置き去りにすることもできず
すぐにその対処をしなければならない
見知らぬ山奥なんかで立ち往生したら
もうサバイバル以外の何物でもないだろう
JAFや保険のロードサービスに電話して
その場で直せない修理なら
さらにディーラーや整備工場を探さなければならない
またレッカー移動してもらうときは
トレーラーに同乗するわけだが
そうして初めて顔を合わせる人たちと
親密に関わることになる
彼らは親身になって話を聞いてくれる
もちろん出先の故障の大変な心境を
よくわかっているからだ
なかには知らなかった知恵を
授けてくれる人もいるだろうし
自身も夜中の山奥で故障して
奇跡的にどうにかなった話や
その人の家庭の話をしてくれたりなど
いろんな人生の光景を学べたりもする
それらはすべて親切心からだ
たしかに彼らは仕事としてそこに来ているが
そのような救援に携わる人たちというのは
それ以上の”使命”を引き受けていたりする
救急や消防の隊員もそうだね
職務経験が長いほど
むしろ仕事は
その使命のきっかけにすぎないのだと
感じていたりするかもしれない
つまり”そのような実感や理解”を
彼らとの触れ合いにおいて学ぶことになるわけだ
「楽しかった」
このように人に親切にされた経験があると
あなたも人を助けてやるときがきたら
どんな精神であればいいのかがわかる
それは別に金銭を通じた業務でも構わないし
よく議論されるような
「偽善かそうでないか」みたいな次元は
軽く超越するだろう
結局をいえばそのような議論は
この世が”見かけ”にすぎないこと
つまり「ひとつの流れるもの」に触れるための
きっかけにすぎないことを知らないんだ
損得のなかでのみ生きている
つまり天命(天から与えられた使命)を知らずに
表面的な労働だけを生きているわけで
余計な苦労は背負いたくはなく
余計な心配りもしんどいだけ
それはつまり
いかに人生を近道だけ進んでいくかを
選び続けていることになる
だがあなたはトラブルを通じて
それが「余計なものではない」ということを知った
ほんのわずかの間に
たくさんの知らなかった人たちと関わった
目まぐるしく展開したけど
車が修理を終えて無事戻ってきたとき
なんだか楽しかったと思えているはずだ
トラブルを愛する
トラブルは人生を”遠回り”させる
あの故障の日
さっと片付く用事に出たつもりだったのに
それができなくなった
だけどもさっと片付いていたら
この数日の不思議な出会いや体験はなかった
そもそもどうして片付けることを
いつも急いでいるのだろう?
“人生”がさっと片付いてしまったら
己はなんのためにこの世を歩いていたのだろう?
言いかえれば
人生とはそれ自体がトラブルなんだ
人生は苦としてここに現れている
そうだね
どうしてこんなに不公平なのか
どうして人も物事も思い通りにならないのか
あなたもよく知ってる通り
人生はそもそもトラブルでしかない
だがこのトラブルを通じて
あなたは何を学べるか
何を実感できるかが大事なんだ
そうでなければ
人生はただのトラブルでしかない
つまり苦しみでしかない
だけどもトラブルを引き受けて
それを通じて現れる”まわり道”を楽しめるならば
トラブルはもはやトラブルではなく
すべて幸福である
だがそのためには
近道をしようが遠回りをしようが
同じところにたどり着くという確信が
あなたのなかになければならない
それがないからこそ先々が不安で
それゆえトラブルを”避けたい”わけだからね
その確信は
Notes あなたの世界, 他者, 充実感, 出会い, 創造, 奇跡, 存在, 安心, 愛, 感謝, 楽しむ
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