人生を楽しむということ

久々に知人宅へお邪魔したら、塗料やニス、ヤスリやハケなどが買い物袋のまま置いてあった。

それは以前に「木製のテーブルをアンティークな色味にしてみたい」と彼から相談があって一緒に買い出しに行ったものだった。二ヶ月ぐらい前のことだね。結局彼の意気揚々としていた気分は準備をするだけで終わってしまったようだった。

「いざやろうとしても、面倒な気持ちに負けてしまって・・」

いやわかるよ、”みんな同じ”なんだ。

だけども私たちはこうして「やらなかったこと」が人生にどれほど置き去りにされてきただろう?

妻はいつも「人生は”短い”んだから、いまやらなきゃどうするの?」と笑う。だから彼女はなんでもすぐに取り掛かる。もちろん失敗も多いし、収拾がつかなくなって元に戻すこともある。だけども「自分の人生のうちにやってみた」という経験にこそ、人生の意義があるんだ。

いずれ”私たち”は、自分が経験してきた出来事のほうこそが、実は己自身だったと気づくときがくる。

つまりこのすべてがあなただったということだ。妻の姿は私であり、そして妻の話をしているこの私があなただった。見てきたもの、触れてきたもの、この街、この社会、この時代、”すべて”があなたなんだ。

間違えてならないのは「じゃあ誰かを傷つけてもすべて自分なのだから罪は問われない」ということではない。自分などそもそもいないんだ。自分と思っているものは、人生で現れる一切の物事の反動であり、いわば建物の”影”にすぎない。つまり衝動的な自分がいるとき、その自分は必ず”あなた”に裁かれることになる。

ゆえに日々起こり続ける出来事、漠然と流れ続ける一切が己であると気づくとき、あなたは自分という名の「苦しむ幻想」を脱しているんだ。だから美味しいものを「おいしい」と素直に感動したり、綺麗な空に「きれいだ」と純粋に感じられることはなにより大事なことなのだよ。

言いかえてみれば、あなたが家族や友人を褒めたとき、その人はあなたに褒めてもらえたことがどんなに嬉しかったか、あなたはそのことに気づいていただろうか。”自分”のことばかりじゃなかっただろうか。

また一緒に暮らすペットがいるなら、あなたに撫でてもらえたことが彼らにとってどんなに嬉しいことだったか、あなたは知っているだろうか。

いいかい、あなたが与えた喜びとは、そのままあなた自身の喜びだったんだ。その”真実”がいずれわかるということだ。

だからなんでもやってみるといい。とにかくはじめてみることだ。うまくいってもいかなくても「やってみてよかった」と思えるときが必ずくるからね。なぜならその数だけ、あなたはあなた自身に出会えたからだ。

そうして人生を”外側“から楽しむこと、むしろそうでなければ人生を”楽しむこと”はできない。

塗装セットを放置していた知人は人生の”内側”からどうにかしようとしていた。”自分”がどうにかしようとしていた。だから楽しさを見出せないでいた。だが「アンティークな感じにしよう」と最初に思い立ったとき、彼は人生を外側からみていた。”それゆえ”に私が現れたんだ。

“彼の知る私”はどんな私なのか、この私にはわからない。男性でないかもしれないし、そもそも人間でないかもしれない。つまり私の世界に現れている”彼”もまた、私にだけみえている存在なんだ。

あるのは私たちを透かせた背後に流れている「永遠なるもの」であり、それがどのような姿として見えているかはさして重要ではない。仕事であれ、恋であれ、友情であれ、姿形を通じて「喜び(永遠なるもの)」と”再会”すること、それが私たちの人生の真の目的なのだから。

というわけで”一緒に”作業をしてきた。

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