自己管理の法(34)

恐怖や不安というのは、それを直視しないときに生ずるもの、「空白」に生まれるものだ。つまり恐怖や不安そのものは実在しないということにある。私たちが不安に思うものといえば、お金のことや健康問題、他人が「どう思ってるのだろう?」といったことなんかがそうだね。

よくお金や健康に不安があるにも関わらず「それについて考えることが余計に幻想を作り出すんだ」という意味を曲解して、目の前の物事を避けたり封じようとする人がいるが、それは完全に間違えている。避けたり逃げたりすることで、その幻想がより大きくなるからだ。

だから健康については定期診断をマメにいくといい。病気が発覚「したら」どうしようという不安が”不安”なのである。もちろん病気をするときはするだろう。だがそれを受けいれているのかそうでないのかでまったく違う扱いとなる。

受けいれているならば、治療はライフワークと変わらない。後述するが、たとえ難病であっても己のなかでそれが消化されるゆえに、本来ありえないはずの法則(すなわち奇跡)に移行するのだ。

事態が大きくみえてしまう

お金に関しての不安なら、まずこれまでどうだったのかを徹底的に調べてみることが大事となる。お金は日々動き続けるものゆえに、狭い範囲だけで捉えてしまうと必ず間違えた選択をすることになるからだ。

たとえば、突然の入金があったとか、突然の出費があった、また予定していた約束が破断になって将来的なやりくりに影響が出る、といった場合だね。

もしその時々の出来事だけを捉えてしまうと、突然の入金のときは何だか自由になれた気がして、その勢いでたくさんの支払いを作ってしまうだろうし、逆にお金を失うような出来事があれば心が焦ってしまい、その動揺によってそれまでと違う選択をすることが「さらなる問題」を生み出すことになる。

つまり不安を封じるために様々な手段を外に探すようになるわけだが、大体は裏目となりますます自らを苦しめてしまう結果となる。

気づかなければならないのは、その時々では動揺しているゆえに「もうだめだ」と思っているだけなのであること、冷静にその前後の出来事を並べてみてみれば、いつも通りの流れのなかにあったことがわかる。

つまり狭い範囲に閉じ込められてしまうゆえに、目の前の出来事が大きなことに見えてしまう。これは誰もがかかるバイアスであり、これを逆手に取った心理操作が世の中には蔓延しているので気をつける必要がある。

数字は大いなる流れを可視化したもの

だから自己管理の本質として「流れを見定める」ということにあるわけだが、そこで便利なのが数字にある。人類史において数字という発明はとても大きい。なぜなら「流れ」を形として取り扱うことができるからだ。

意外に人は気づいていないものだが、数字というのは実在のものではない。

たとえばリンゴが2つあるとして、この2つというのはなんだろう? 実際そこには「リンゴ、リンゴ」というように物体があるだけであって「2」というものだけを取り出すことはできない。

じゃあ数字はいったい何を意味しているのかといえば、この現実の背後にある「大いなる流れ」そのものの可視化にある。そこでピタゴラスは数字で宇宙を説明できるとしたわけだ。音階も周波数であり、大きさや面積、また社会の状態も数字によって表される。現代の機器を使えば健康状態も数値の変動そのものであるわけだね。

数字嫌いな人は多いが、それはそもそも数字自体が「実体のないもの」だということを理解していないからだ。あなたに名前があるように、また名前がなければ、あなたを説明できないように、数字というのは「透明なもの」を識別するための記号なのである。

だから「透明なもの」に意識を向けることが大事であり、数字はその流量を表わしたものとなる。

表計算ソフトを活用する

ところで私はMacを使っていることもあって、Numbersという最初から入っているアプリ(エクセルと同じ表計算ソフト)を家計簿や収支計算としてよく立ち上げる。

1枚のシートの上にいくつかのテーブル(表)をつくり、それぞれの合計が別のテーブルのセルに表示されるような簡単なリレーを形成している。つまり今月の入金額や、今月のクレジットカードの請求額などが確定したら、その数値を入れるだけで、固定費のテーブルや電気代や水道代などの光熱費のテーブルとリンクして、いくら残るのかが瞬時に出てくるようにしているわけだ。

またどこの銀行口座にいくら残高があるとか、いつ頃までにいくら入れておかなければならないのかというのも1シート上ですぐにわかるようにしている。

最初から出来上がってる家計簿ソフトなどは、定型化されているゆえにどうも馴染みにくいが、こうして自分なりの環境に合わせてパパッと作れるようになると便利なので勧めておくよ。生活の流れがひと目でわかるようになる。

無駄遣いに注意できるだろうし、なにより「流れが見えていない」という”見えない不安”を払拭することができる。これが一番大事なことだ。

見えない消耗をつくらない

話したように、恐怖や不安というのはそれを直視しないことにより生ずるものであり、それは無限大に膨れ上がることになる。しかもそれは潜在意識に常在してしまい、他のことをやっていてもエネルギーを消耗し続けることになる。

心に何かが引っかかっているような様子だね。そのためにいまやるべきことに最大限の力を注ぐことができなくなる。

表計算ソフトはアイデア次第でとても便利な活用ができるが(健康管理なら体の変化を簡単にグラフ化したりできる)、その本質には「数字」を扱うからにあるということ、それは哲学的な意味において重要なので覚えておくことだ。

ちなみに今回の私がしているような使い方は、完全な未経験者でも2時間もあればできるようになる。

まずスケッチブックなりに手書きの表をつくり、どんな項目があるのかを洗い出す。そして

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