鏡を割って他人から自由になる

君は凄いね
よくやってくれてるよ
あなたには感謝してるわ
見て、あの人かっこいい
綺麗な髪ですね

社会ではこのような呪文が飛び交っている
あなたをその気にさせる呪いの言葉

そしていつからか
そうした言葉を求めるようになる
評価を求めるようになる

何をやるにしても
あなたは他者を意識するようになる
最初に評価ありきで
あなたは行為をするようになる

他人の世界で踊らされていることに
まるで気が付いていない
いつの間にか「そっち」の住人となっている
評価を求めることが前提になっているから
「正当な評価」が得られなければ
不機嫌になる
理不尽になる

「自分はこんなに頑張っているのに」
「私の方がきっと美しいはず」

どんどん世界が不幸の色に染まり出す
白か黒という両極の色しかない
終末世界が到来する

毎日トイレの鏡を見て髪型を気にしているが
一体なんのためかね?

鏡を叩き割りなさい

いいかい
誰かに美しいと”思ってもらう”のではなく
あなたが美しくなるのだよ

あなたが「する」のだ

世界で幸せを探して歩くのではなく
幸せなあなたが世界を歩くのだ

鏡を叩き割りなさい

お洒落に無頓着になれというわけじゃない
他人を起点とするなということだ

他人の評価は決してあなたを幸福にはしない
その時は良い気分になるかもしれない
だがあなたはそのエサに釣られるようになる
良く思ってもらうことを求めるようになる
そのマインドはどんどん増大していく

やがて他人が社会という巨大なものに変わり
「お金がもっとあったら」
「これがもっとこうだったら」
そうして支配された生を進むことになる

そこに10人の他人がいれば10枚の鏡がある
あなたはそれぞれの鏡に映る自分を見ている
映った自分を見て、
あなたは「これが私」だと信じている

10人の他人がいればどれも違う顔だ
あなたは誰かといる度に
そこに映る鏡の自分に
合わせなければならない

誰かの鏡が波打って歪んでいたら
あなたはショックを受ける
鏡が歪んでいるのに
あなたは自分の顔が歪んでいると錯覚する
するとあなたは自分の顔を矯正しようとする
歪んだ鏡に映る自分がまっすぐになるように
あなたは自分の顔をどんどん矯正する
この異常さがわかるかね

あなたは自分の顔をしらない
あなたが知っている「自分」とは
他者が抱えている鏡のこと
それはあなたではない

あなたは多くの鏡に
自分を合わせてきてしまった
だから本当のあなたの顔は
大変なことになっている

あなただけがしらないのだ

言い辛いが
いまのあなたの顔は
とてもハードな状態

だから元にもどそう
簡単なことだよ
鏡を叩き割ればいい

前髪が整って
あなたがクールな気分ならばそれでいいのだ
だが誰かにそう思ってもらおうとしないこと
「思われたい」が不幸の種だ
種はやがて芽を出し
絡みついてあなたを雁字搦めにする

誰かに手を貸すこと、仕事もそうだが
それはどんどんやりなさい

だが
「こう思ってくれてるかな」
「これで認められるはず」
なんて気持ちは捨てなさい
それが「鏡」だ
鏡が見えたら割りなさい

あなたがあなたのために
それをするのだ
そうじゃなければ
やる必要はない

それがあなたの家計を支える仕事だろうが
他人の中で「労働」をしているなら
やめてしまいなさい

あなたはあなたのためにそこにいるのだよ
会社に勤めるのならば
自分のためにやりなさい
お客にべんちゃらを言ってもいい
だがそれは相手のご機嫌を取るためじゃない
あなたがあなたのために
あなたの強烈な一撃としてそれをするのだ

誰かがあなたにネガティブなことを言ってきても
それは鏡が歪んでいるだけであり
あなたには関係のないことだ
そこに映っているのは歪んだあなたではなく
歪んだ鏡の映像でしかない

あなたはあなたなのだよ
それはどんな鏡にも映らない
鏡に映るものはすべて嘘
信じちゃいけない
あなたは自分の足で立ち
自分で歩いていける

のどが渇けば水を飲めばいい
それは自分が手を伸ばして得ることだ
誰かの評価は
あなたの乾きを潤さない
潤してくれたような気がするだけで
一滴も水が落ちてこない
だからいつもカラカラなのだよ

そこに気が付きなさい
一匹の虫になりなさい
自分のために大地を駆け巡りなさい
果てにその大地があなただったことがわかる

鏡はある
そこら中に置いてある
他者とは鏡のことであり
あなたと同じように実存する人物のことではない
鏡が擬人化しているように見えているだけ
鏡に映る映像はただの情報だ
それは真実(あなた)ではない

あなたが他者の中を生きないとき
すべての他人は消える
他人という「思い」が消える

最後に残るのは
あなたという、ただひとつの状態だけだ

 


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  1. ONEPOINT より:

    最近になって仕事方面で肩書がついたのですが
    どうしても偉くなったような気分になってしまうのですよね。
    それはそれで自信の源になることもあるのですが
    どこからか「その肩書はお前自身なのかい?」という声が聞こえる。

    肩書と同一化することなく文字通り「役」をやっていると心がけたいものです。

    • 自分 -涅槃- より:

      ONEPOINTさん

      その話は、あなたにとって良いきっかけとなる
      あなたは一体どういう要素の組み合わせで
      作られているのか、
      一度、紙にマインドマップを描いてみなさい

      自分とは何と何の要素の絡み合いから
      発生しているのか
      どういう要素の隙間に
      「私」という現象が浮かび上がっているのか

      会社というもの
      そこで関わる社員やお客
      それらもマインドマップしてみる

      そこで見い出した「自分」を忘れないように
      会社で精進しなさい
      人と関わりなさい

      すべてはフィクションの上に成り立っていることが
      わかるだろう

      すべてフィクションだ
      すべてがそうだから
      すべてがノンフィクションの扱いとなっている

      だから世界を愛してあげなさい
      あなたの愛しかないのだよ

  2. 五月雨祭 より:

    浦和レッズの監督が相手ではなく自分たちがどうするかという点においてトレーニングを積む話をしてたのを思い出しました。
    「考えるな感じろ」という意味を再確認出来て面白かったです。

    • 自分 -涅槃- より:

      五月雨祭さん

      その通りだ
      どんな物事もマインド、つまり
      首から上の「生き物」が邪魔をする

      だが行為は首から下の生き物の役割だ
      役割というよりも
      彼の本能こそがすべての行為の現れなのだ

      マインドは行動には適していない
      まったく向いていない
      ただ考えるだけ
      「考える」すら行為ではなく
      視覚や聴覚と同じ、
      「考え」がそこにあるということを
      単に察知しているに過ぎない
      だから「考えている」わけでもない

      スポーツは頭で考えるよりも
      その流れを身体に対応させるものだ

      身体が勝手に動く
      マスターは一切考えない
      ビギナーは頭でやろうとする

  3. ワモノ より:

    まさにこれです
    私の心が壊れた原因は
    他者からどう見えるかばかりを気にして嫌われないように嫌われないように
    そのくせ他人からの評価を渇望し、それが得られないことに憤り、「自分はこんなに頑張っているのにこんなに親切にしているのにどうして誰も寄ってこないんだ、どうかしている」と心の中で他人を責め、そんなことで他人を責めている自分が本当に嫌いで

    私は完全に他者の中で生きてきました
    鏡に翻弄され続けてきました
    もう疲れました
    この生き方はもちません

    鏡を割ります
    自分さんありがとう

    • 自分 -涅槃- より:

      ワモノさん
      多くの人が他人の中で生きている
      それは飼われているということ

      他人がエサをあげれば
      あなたは喜んでしっぽを振る
      他人の機嫌が悪ければ
      あなたも気分を害する

      それは反応でしかない
      他人任せの中で生きるから
      人々は制限されていると感じる
      そりゃそうだ

      鏡を割りなさい
      自分で立って歩いて
      息を吐いて
      強烈に存在しなさい

  4. 水彩画 より:

    はじめまして。

    先週の土曜日19時、テレビをつけると『AKB選抜総選挙』という女性アイドルグループの人気投票のイベントがオンエアされていたので、僕は何気無くそれを観ていました。

    より多くの人に認められることで、グループ内で格上の評価になったり、待遇がよくなったり、世間の話題になったりするシステムのようです。

    「10位、〜〜〜〜」
    「9位、〜〜〜〜」
    こんな風に順位と名前を呼ばれて、高い順位で嬉しそうにしていたり、去年より順位が下がって悔しそうにしている彼女たちに僕はなんだか儚さを感じました。

    そして「ありがとうございます!次はもっともっと皆さんに認めてもらえるような存在になれるように、これからも頑張りたいと思います!」という風に彼女たちがテレビでスピーチしているのを聞いてると、僕はそんな風景に居心地の悪い気分になりました。こんなのまるでディストピアの世界じゃないかと。そして、今まで実際に僕はそんな世界に属していたんだなと気がつき、愕然としました。

    もちろん、人には人の世界があるのだから、他人に認められることで幸せだと感じている人に無理に干渉するつもりはありません。ですが、僕はそういった価値観にもう深くうんざりしていると思います。

    世の中の流れに乗っているクールな文化人や実業家に、他者の評価に支配されながら活動している人はいないのでしょうね。

    僕は「人に認められたい、人から傷つけられたくない」という欲望が度を越して、人間不信になり、一時的にひきこもりをしていました。あらゆる流れがせき止められて混濁していた状態でした。

    そんな時に、この手記に出会いました。
    自分さんがここで執筆されてる手記の表現は、我々が抱く普遍的な苦しみを共感性のある例えで表現されていて、そこに惹かれましたし、「いまここ」で幸せになるための公案(悟りのヒントとなる言葉)もとても実際的で参考になるものでした。読んでいると深淵な思いになります。

    ここで示されている様々な公案を、これから少しずつきちんと人と関わって理解したいと思います。

    • 自分 -涅槃- より:

      水彩画さん

      はじめまして
      大事なのはAKBという人々が
      あなたの世界に出現しているということだ

      いいかい
      AKBは実在しない
      つまり、あなたと同じように
      生活をしている存在ではないということだ

      あなたは自分と同じようだと
      他人をそのように見る

      そうじゃない
      すべての他人はあなたの中にいるだろう
      この意味をよく考えてみなさい

      他者が道を歩くときと
      あなたが道を歩くとき
      それはまるで違う光景だ

      これは何を意味するのか

      そしてあなたのAKB観、
      それはすなわち
      あなた自身に対するものであるということ
      それを悟りなさい

  5. ワモノ より:

    久しぶりに読ませて頂きましたが、やっぱり良いですねこの記事。好きです。私が人生でミスった原因が懇切丁寧に書かれています(笑)
    まだ割と鏡に囚われてますが、今を意識するようになって以前より心は晴れやかです。
    ネガティブな感情に襲われたときの身体の痛み、みぞおちやら腰椎のあたりやらにグググと負荷がかかるようないやーな痛みが来たときに何もせずただ感じていたら消えていきました。以前はこの痛みに抵抗したことで痛みを増大させ、それがネガティブを増大させ、という悪循環に陥ってた様に思います。
    この痛みは自分の中では「警策」ということにしています。痛みに抵抗すると和尚さんに警策でビシバシ叩かれてより痛い。ただその痛みは「意識が外れているぞ!」という和尚からの喝。そんなふうに思うとなんか滑稽で良い感じです(笑)

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