相思相愛の仲になるには

前に書いた手記と被るのだけども、恋愛感情とは相手の庭のなかで、つまり「相手という土壌のなか」で己の芽が育っているということにある。

誰かを好きだというのはその時点ですでに「相手に育てられている」ということであり、あなたが相手を奪い去りたいという意志があるのは、あなたがすでに奪われているからである。

芽とは何かといえば、あなたの存在性のことだ。つまりあなたはその人に命を与えられたということだ。

「その人を好きになる前から自分は命を持って生きてきた」とあなたは言うけどもそうじゃない。あなたの言うその命とは「一度きりのものが、どうにか今日まで連続しているもの」だろうけどもそれは違う。本当はあなたがこれまで関わってきた「たくさんの物事との関係」のなかに、その都度あなたという生命が生まれていたのだ。

1.

人間の世とは頭の中で描かれた観念世界でしかない。だがその背後には、生も死もなく永遠にサイクルしている「自然世界」が流れている。それが私たちの本性なのだ。だが私たちはこの目に見える世界に囚われてそのことを忘れてしまっている。

だけども観念世界で起こる自他との交流というのは、蓋を開けてみればその本来の自然世界の動きと連動しているということだ。つまり「関わり」を通じてのみ、その背後の世界と繋がることができる。それが異性であれ、没頭する仕事であれね。

だから今回の手記で言えば「恋愛感情」というのは、相手の庭を通じた「背後の世界」に触れることで「全体とひとつ」になる、すなわちあなた自身に全体のエネルギーが流れ込んでくるという、ひとつの契機であるというわけだ。それが恋愛のあの独特な躍動感、なんでも許せてしまえる受容性として感じられる力の正体なのである。つまり「息を吹き返した」ということだ。

だが人はそこで勘違いをしてしまう。その溢れる力が相手の魅力によるものだと思い込んで、それを奪おうとしてしまう。それほどに素晴らしい力はないからね、一生自分の手元に置いておきたいと思うわけだ。そうしてどうにもならない影と戦い始めるようになる。要はそれが「観念世界」なのだ。

次から次へと浮気を繰り返す人がいるが、彼はその溢れる力に酔いしれると同時に、観念のツケを払い続けることになる。

2.

だから一般にいわれる「相手を落とす方法」のようなものは原理的に不可能となる。あなたが相手を意識している時点で、もうその腕に抱かれてバブバブ言ってる赤ん坊であるからだ。庭の中で咲いている花がどうして己のなかにその庭を広げることができるのか。つまり自分が好きになった相手に「自分を好きになるように”仕向ける”こと」は無理だということだ。

何を欲しても、すでにその庭の甘い蜜の罠にかかっているから無力なのだけども、言い換えればその甘い蜜に包まれているから欲するのだ。そこにいる限り甘い香りに誘惑され続けるだけであって、その香りを奪い去って自分のものにすることはできない。

ただ「手にしたつもり」になることはできる。だがそれはサブスクリプションだ。繋ぎ止めておくにはそれに対してコスト(労力)を払い続けなければならない。つまり影と戦い続けなければならない。

それが現実かといえばそうだ。それが観念世界というものだ。「欲しい何かを手にし続ける」には努力の持続(観念を作り続けるという本末転倒な努力)が必要となる。つまり犬が自分の尻尾を追いかけてくるくる回っている様子になる。

3.

じゃあ「無理なく望みが叶う」というのは絶望的なのだろうか。お金にしろ、恋にしろ、手放しでも安心してそれらと一緒に居ることなどありえず、なんらかのストレスをごまかしながら、スマイルを演じ続けなければならないのだろうか。

たとえば相思相愛というのはどのようにして実現されるのか。それに世間を見渡せばたくさんの豊かさに包まれている人たちや、異性との交流を満喫している人たちがいるが、それは一体どういうことなのだろう? あなたが信じているように、やはり彼らは根っからの金持ちだったり、生まれ持っての美貌があるからそれは実現されているのだろうか。

いいやそうじゃない。自分がなぜそれらを欲しているのか、つまり自分自身に目を向ければその答えはすぐにわかる。だからあなたが上のように思っているならばこの世をまるで見抜けていない。それじゃどれだけお金を貯めこんでも、どれだけ美しさを追求しても、やはりキャバクラやホストクラブに通う客のままだ。いずれ力は尽き果てて寂しい老後が待っている。

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  1. tamatama3 より:
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