夫婦と老犬

ある高齢の夫婦が
老犬と暮らしていたとしよう

犬はもう目が見えておらず
痴呆も進んでるゆえ
放っておくと危ないばかりか
家のなかも汚物やらでめちゃくちゃになる

四六時中付き添ってなければならないわけで
「これじゃなにもできない」と
奥さんはいつもイライラしていたが
かといって犬に当たることはできず
毎日ただ世話に追われていた

本当は老後は夫婦ふたりで
あちこちに観光へ出かけて
満たされた余生を過ごす予定だった

堅い仕事だった夫は休日もままならず
ようやくふたりだけの時間が始まるはずだった

ところが夫の定年と同時期に
犬に手がかかるようになってしまい
それがすべての計画を破綻させてしまっていた

奥さんは不安だった

「このまま犬の世話に追われて
私たちが死んでしまったら
いったい何のための人生だったのだろう?」

そのようにいつも周囲に漏らしていたが
まだ犬が生きてるうちに
夫婦ともにころっと死んでしまった

奥さんの不安どおり
犬の世話だけの人生だったわけだ

 

扉の向こうにあるもの

さてこの話からどんな教訓が引き出せるだろうか

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