光が織りなす世界

高速道で長い距離を走っているとき、山間に小さな町が幾度となくすぎていく。夜の暗闇のなかで、家や店の明かりが宝石のようにきらきらと輝いている。

こちらからは建物の形はわからないが、その散らばった光のひとつひとつに、人々の暮らしがある。つまり奇跡がある。

家族で過ごしていたり、読書をしていたり、仕事に励んでいたり、そんな安らいだ世界が私の眼に映っている。

無数の光を眺めている私も、道路を走りすぎていく姿として、誰かには流れ星のように見えているのかもしれない。

だがその想像も「流れ星の私」に浮かべられているものだ。そのように捉えてみれば、意識を与えられた存在すべてが流れ星であり、それぞれが幾万もの宝石を抱いているのだろう。

光が織りなす世界

やがて自分の街がみえてくる。私の住み慣れた街。

この街で暮らしているのは偶然であるけども、もしかするとさっきの山間の町だったかもしれない。つまりすべては可能性の光として散らばっているのであって、一度どれかを選んでしまえば、その偶然が必然となる。

その光のなかに生活や仕事や知り合った人たちがいて、朝や夜が訪れる。

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