使い捨てロボットが意志をもつとき-14

全体という立場からみて、はじめて部分の存在が明らかになる。これは大事なことだ。恋愛や人間関係、お金や仕事など、人生におけるすべてのことにおいてそうである。だが人は部分的な見方しかしないから、常に恐れてしまう。どこへ向かえばいいのか、どうすればいいのか、どうしてこんなに理不尽なのかとね。

宇宙は巨大なシステムであると前に話したように、その全体を構成する各部分もまたひとつの全体であり、無数の部分で構成されている。

あなたの身体もそう、様々な器官、それらを象る細胞、そうした小さな部分の集合として構成されている。また「システム」は物的なことだけではなく、たとえば手で物を持ったりするような機能的な面をみてもやはりその全体が様々な部分で成り立っていることがわかる。

この世のすべては部分のあつまり

コーヒーカップに手が伸びる。人差し指と中指がカップの取っ手を引っ掛けるように曲がり、親指が添えられて腕ごと持ち上げる。そうして「コーヒーカップを持った」という全体の動作が完了する。

中指が曲がるという部分だけを取り出してみても、それ自体が何の意味があるのかはわからない。前後の連結した他の部分があってはじめて「コーヒーカップを持った」ということがわかる。しかしそれさえも部分だ。どうしてコーヒーカップを持ったのだろうか。それを解明するにはやはり連結した他の部分がなければならない。

このようにして部分だけをみていれば、この宇宙のなかで完全に孤立したものになってしまう。対人関係であっても、その時々の関係性だけをみていれば大事なものを見失ってしまう。たとえばケンカ別れしてしまった相手に、あとになって後悔したことはないだろうか。

なんでもそうだが、その場の感情だけで済ませたことというのは、必ずあとになって後悔をする。どのような小さなことも、その頃にこだわっていたことは「実はそうではなかった」という一望する立場にいずれ到達するからだ。

全体から眺めることで現実を自在にできる

仕事や生活も同じ。そのごく狭い範囲だけで全体を捉えようとすれば、つまり部分の立場から全体を見ようとすれば誤った妄想に囚われ、そしてそれに縛られてしまう。しかし全体として眺めたときに、システムは一本調子ではないことがみえてくる。たとえば「仕事」という一連のシステムは、他の多くのシステムと関連づけられることがわかり、そうして自ら新しい論理を構築していくことが可能となる。

だからいかにして全体として捉えるか、つまり、はまり込んでいる現状よりも一段うえの「高次」に存在して、いまの自分や現状を俯瞰できるかが大事なのである。

たとえばいま書いているこの一文をみればいくつかの語で構成されている。語もそれぞれ意味を持っている。しかしここで意味を持つのは文であり語ではない。文を見るから語が現在おかれている役割を知ることができ、そしてそれを活用できるのである。また文は他の文に関連づけていける。そうしてひとつの意味をもった書物が完成する。

後述するけども、あなたが現実を変えたい、充実した人生を歩みたい、ストレスを抱えたくない、もっと人々を大切に感じたい、と願うならばこの全体的な見方は重要であるので、叩き込んでおく必要がある。

時間の対称性

全体というシステムを活用するうえで、次に重要になるのは、時間の対称性についてである。私たち人間の観点からは、時間は過去から未来へ進んでいく。つまり「いま」を起点にしたとき、

過去→いま→未来

と非対称性の直線的なあり方をしている。だが自然の世界においては時間は「いま」を中心して、水面の波紋が広がるように対照的に進んでいる。

←いま→」という具合だ。

正しくいえば、これは「時間が進んでいる」のではなく、もはや時間は存在しておらず、ただ同時発生的な変容が、いまここで起き続けている様子にあるといえる。

たとえば、コップを落とせば割れて粉々になる。もうコップという形はない。これを人間的な観点でみれば、不可逆(元に戻らない)な時間進行があったといえる。だが自然の観点では、コップを起点にして、元に戻ったということを表わしている。なぜならコップはもともと存在していなかったからだ。どこかで製造され、そして消滅したにすぎず、それが起きている空間として捉えた場合、時間の進行などは一切起きていないからだ。

つまり「無←有→無」であり、過去から未来へ進んだのではなく、同じ空間がずっとそこにある。

人間というバイアス

ここで注意しなければならないのは、私たちは自然や宇宙を人間的な観点で見てしまうことにある。つまり「宇宙の法則」は宇宙の法則にあらず、人間の法則として、人間的な解釈として宇宙の法則を見てしまう。これがそもそもの誤解の元なのだ。

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