水が水に消えゆくように

誰もが自分のことを
他の誰かに知ってもらおうとする

家庭でも近所付き合いでも
どこでもみんなそうだ

会話を例にとってみれば
“自分の話が相手に伝わるはずだ”という
前提があるからこそ
話しかけるわけだからね

それはつまり自己を承認したい欲求
誰もが持っているということだ

もちろんそれがごく自然な人間の姿であり
だけども自分でそれを満たしきれないから
他人に承認を求めてしまう

特に現代人は「自分を認めたい」ために
生きているといっても過言ではない

たとえ誰と関わらなくても
自分を認めていたい

自分が満たされた存在であると感じたい

だから欲しいものがあったり
食べたいものを選ぶ
家族や友人に自分を主張する

そうして「自分の物語」を大事にする
それは決して悪いことじゃない

ところが年老いた人や
病などで先が長くないと悟る人は
他人の話を自ら進んで聞こうとする

自分のことは何も語らなくなり
ただ人々の話に耳を傾けているようになる

家族や知人たちが話すその言葉のなかに
自分やそして自分たちが
本当は何者であるのかをみるからにある

 

1

あなたが老年になって
自由に体が動かせなくなったとき
ベッドの脇で
みんなが話を聞かせてくれるだろう

浮いた話もあるけども
それは上辺にすぎないとわかる
明るい話の裏側には
隠そうとしている影があるからだ

人間である限り
基本的に誰の人生にも影がある

何かの依存症だったり
失業していたり
お金に困っていたり
家庭は崩壊寸前だったり

そこまでいかなくても
いつもなんらかの失望が
繰り返されるなかでみんな生きている

だからこそ誰もが自分をわかってほしい

こんなに辛い思いをして
生きているのだとわかってほしい

あの日はこんなに楽しかったのだと
誰かに知ってほしい

そうして受け取ってもらえるだけで
自分の苦しみは浮かばれたと感じる

そしてまさに”それゆえ”に
人々はお互いに罵り合っている

テレビでもネットでも
井戸端会議でもそうだね

「あいつは何もわかっていない」
「あの人が憎い、許せない」

だがそれでも人生は列車のように
止まることなく進んでいく
みんなそれにしがみついて
振り落とされてないようにしている

だからある意味で
人々は”お互い”が罵り合うことで
お互い不幸なんだという
奇妙な連帯意識があるともいえる

誰かが誰かを罵っていることや
誰かが不幸であることに
人は蜜の味を感じたりするわけだ

 

2

どうして私たちは
こんなことになったのだろう?

最初は明るい未来を持って
みんな出発したはずなのにね

どこかでネジが外れてしまった

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