ハレーション

8月のとある夜──

明るいリビングで
あなたが周りを見渡せば

家族がなにやら用事をしていたり
飼い犬がクッションで眠っていたり
冷蔵庫が音を立てていたりする

友達から届いたメールを開くと
河川敷で花火大会を見物しているらしい

外で太鼓を叩くような
大きな音が響いていたのはそれだった

動画には夜空を彩る綺麗な閃光と
大勢の人の群れが映っている

その様子を家族に見せたら
和やかなムードになった

「わぁーきれい!」

するといつもの
爺ちゃんの昔話がはじまった

楽しみにとっておいた饅頭をかじる
蛇口をひねると冷たい水が流れ出す

あなたの心臓は鼓動を打っているし
胃腸も元気に活動してる

こうしてなにもかもが
同じ瞬間に一緒に存在していると感じるたびに
子どもの頃の「夏休み」を思い出す

行き交う車も信号機の点滅も
遥か遠くの星々の輝きも
グラスいっぱいの炭酸水の泡も

目を閉じても息を止めても
眠りに落ちて意識を失ってみても
巨大なひとつの流れは進行している

宇宙がパレードしているみたいに
光の集合はどんどん突き抜けていく

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