どこへ行ってしまったのだろう?

夕暮れの寒空にカラス鳴く

親しい人を失い
生きる目標も色褪せて
「私は何の為にここにいるのだ?」
そのように心叫ぶ日がやって来る

ただ空しく
ただ悲しく
あなたはただ立ち尽くしている
夕暮れの寒空にはカラスが鳴いている

そんな景色をあなたは何世も見てきた
何もかもを失いながら
これまで大事に持っていたものが
何の意味も、
何の力もなかったことにまたしても気付く

親しかった人々
愛した人々は
一体どこへ行ってしまったのだろう
間違いなく、すぐ近くにいたはずなのに
一体どこへ行ってしまったのだろうか
声も聞こえないし気配もない
何もない
間違いなくそこにあったのに
一体どこへ行ってしまったのだろう?

あなたは自分を見つめる
昨日の私はどこに消えたのか
あの頃の私は本当にいたのだろうか?
いつかの私はどこへ行ってしまっただろうか
もう何もなくなってしまった
私とは一体何なのだろうか

何もなくなってしまった
夢も愛情も生きる力でさえも
何もかもなくなってしまった

そうしてあなたが空っぽになったときも
変わらずただぽかんと
世界が広がっている
世界が漠然とただそこにある
ただそれだけが
あなたとともにずっとあるのだ

夕暮れの寒空にカラス鳴く
ただそれはそこにある
それだけが失われることなく
そこにある

何の意味も理由もなく
何かの為でもなく
ただぽかんと
そこに広がっている

それしかなく
ただそこにあるだけなのだ

すべてを失ったときに
自分は何も失っていなかったと気付くのか、
それとも絶望の果てに狂ってしまうのか

 


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  1. さばみりん より:

    頭で色々理解しようとしている節がある昔から理屈っぽい私は、一方でふとした瞬間に刹那に没頭してしまうこともあります。
    だがしかし、まだどこか自他の分離が起こっている以上、いつか行き着く果ては絶望なのでしょう……。世界と己を切り離し、希望を解釈して持ち続けている以上、少なからずそれはやってくる。
    独りでいて楽しいと思えることをし尽して途端虚しくなったとき、
    近しい者が死んだとき、自分にとって嫌悪を抱く者が目の前に現れたとき
    慢性的に心を切迫するような事態と状況に陥ったとき………。

    ここに書かれている自分さまのお言葉を真に受け止めてまいりたいと思います。
    毎度気付かされております…。

    • -自分- 涅槃 より:

      さばみりんさん

      その手記が意図するところは
      すべてがあなたの中にあるということだ

      あなたの見ている光景、
      触れあった人々は
      全部あなたの心の中で存在していた

      なぜ人は去り
      光景は過ぎゆくのか

      それはつまり
      あなたが不動のままに変化しているのだ
      時計の針があなただ

      文字盤(世界)は過ぎていく
      あなたは不動のままに変化している

      これをよく理解してみなさい

      あらゆる悲しみは
      突然どこからかやってくるのではなく
      自分の心の中にあるということを知れば
      あなたは解放される

  2. さばみりん より:

    ありがとうございます。
    常に不動のまま変わり行くわたしを感じます。

    また、来ます……。

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