hajimeniあなたがハッピーに生きるためには
まずいまそこで幸せになることだ

それができない限り
何年経とうが何を手に入れようが
あなたは決して幸せにはなれない──

 

というわけで、本書の理念や紹介を兼ねて
小話に付き合っていただきたい

 

幸せとはなにか?

これを突き詰めるために
私は人生という地獄を散々さまよってきた

自己紹介をしておこうか
私は本書では「自分」と名乗っている
あなたもいずれわかるが、私はあなただ

だが細かい説明をしたところで
あなたが積み重ねた観念を捨てない限り
真意は伝わらない
だからまだ無理に理解する必要はない

あなたが私に問いかけるとき
「あの自分さん、」と伝えることになる
あなたは自分に向けて問いかけている
それが名前の由来

本書はあなたが出現させたのだよ
きな臭いが本当の話だ

覚えておきなさい
あなたの経験することはすべて「事実」だ
言葉は難しく見えるが、因縁生起の法により
あなたはあなたに関係するすべてが
勝手に揃うようになっている

本書ではよく水中のバケツという比喩を出す
水中のバケツは空っぽか、それとも満杯なのか
つまりあなたが経験するハズレは
すべてアタリなのだよ

 

涅槃へ向かう旅

話を戻そう
個人的な昔話はあまり書かないが
本書に辿り着くも「理解できません」
という人が多いものでね
そういう流れのようだ

同様に以前の私も
まったく気が付いていなかった
だからこれも何かの参考となるのだろう

 

当時の私は
その状況、その危機、そのネガティブから
いつも抜け出す方法を考えていた

あらゆる本を読みあさり
多くの人を訪ね教えを受けていた
様々な宗教、科学、オカルト、錬金術に至るまで
苦悩を解放してくれるものを探し求めていた
あるときから現実の中で
妙な出来事が増えるようになり
それ以降、
ただひたすらシンクロニシティの追求と
眠っているときの夢についての考察を続けた

真夜中に小さな明かりを灯し
ノートによく記したものだ
手はいつも震えていたから
判読できる文字ではなかったがね

その頃の私は関わる人々の
様々な責任を背負っていた
私はいつからかNOを言わない仮面を被り
そこに同化してしまっていた

仮面とは人間性、つまりエゴのことだ

そのために多重の債務とストレスからの奇病で
全身の毛が斑点状に抜け落ち
すべての関節が痙攣し直立することもままならず
まさに地獄を這い回るグールのようだった
それでもなお、社会という無言の業火は
私を四方八方から取り囲んでいた

妻と子を抱えながらあらゆる思考と
可能な限りの行動力をもって
いつも臨戦態勢だった
無論、心の中は恐怖だけだ
外を歩けば人は避けていく
こんな風貌ではどこも雇ってくれない
金は底をつき、電気も停められる
焦りと不安が影のようにつきまとっていた

狭いマンションで火を灯したロウソク
寝袋で目を閉じる妻と子
揺れる炎を見つめ
できることは食料確保の計画だけだった

チリ紙交換のスピーカーが響く平凡な時代で
なぜ私はひとりで戦争状態なのか
そこに気がつく余裕すらなかった

人生が良好だった頃を思い出しては
それを一変させた人々を憎んだものだ
彼らに罪はない
頼る人がいないから私を頼っただけだ
私はオーケーと言った
だが重い荷物を背負い堕ちていく私を
彼らは見過ごした

己に対しても怨みつらみ、
同時に大きくなる焦りと不安
地獄絵図は心の状態を表現している
まさにあのままだ
見事なものだ

手にするのは十字架かね、般若心経かね?
一体何の役に立つというのだ
それでも不安を寄り付かせないために
どちらも持ち歩いていた

 

最初の気付き

だがある日ふと気がついた
いつものように
青い空を見上げて祈っていた時だ

空を見ようとするから、ここが大地となる

そこから出ようとするから
そこが地獄なのだということだ

そのとき、
自分が大地に立っているということに
気がついたのだ

なんで今までそれがわからなかったのか
不思議だった
そこに私はいた

よくあるスピリチュアルの話では
私は「消えていた」となるのだろうが
まあ同じことだ
私はここにいたのだ
やっと見つかった気がした

私は大地に立っていた
ただそれだけだ

言葉にするとくだらないが
本当にそれだけだ

嬉しさが込み上げていた
脱毛した頭と痙攣する全身
溢れる督促状の山
そのすべてが素晴らしかった

私はそこにいたのだ

それからというもの
世界というものが何なのか
ようやくわかったのだ

出るんじゃなく残るのだよ
不幸という服を脱ぎ捨てるんじゃなく
しっかりと着るのだ
その服を確かめるように生きる
そこにないものを認めること、
つまり希望がすべての絶望の種なのだ

 

心の世界にいた

すべては己が作り出した幻影である
だが火に手を突っ込んでも火傷しないとか
そういうことではなく
火傷をするということ自体が幻なのだ

何を知ろうが悟ろうが
ビジネスを続けなければ暮らしは発展しない
飯を食わなければ体は衰弱していく
睡眠をとらなければ精神も不安定になる

ブッダもイエスも超人ではない
食って眠って教えを説く
ただ循環の中にいたのだ

多くの人が勘違いしているが
何かに気付いたら何でも夢が叶うとか
そういう夢の世界など訪れない
最初からすでにそこが夢だからだ

朝日が昇れば花は開き
湿気が増えればカビが繁殖する
それは人間も同じこと
すべては循環の中にいるのだ

いつもこの惑星は廻っている
あらゆるものがひとつの潮流として
動きを連ねている
動植物や虫、微生物の成長
人間に起こる出来事もすべて
大きな流れの一部分なのだよ

人は何の理由もなく
何の意味もなく、ここにいる
何の目的もなくここにいるのだ

雨も風も動植物も人も
それらに分断はなく
ひとつの巨大なマトリクスが
ただ動いているだけだ
自分が何かをしているつもりが
実は何をせずとも
すべては流れていく

自然の法という
永遠に終わらないパーティの中に
私たちは参加している

 

循環させる

内なる苦を捨てた途端に
医者からも見捨てられていた持病は消えた

私はそれまで流れを止めていた
全力で流れを止めようとしていたのだ

それを「やめること」があなたの役割だ
人間は間抜けな生き物だ
エゴの保身がすべてを破壊する
だからそれを落とすのだよ

そのためにあらゆる「入り口」がある
すべてが総体の一部分なのだから
どこからでもアクセスできて当然なのだ

紙に自分の開いた手をデッサンするとき
手から描くのではなく
手の周囲の風景から描くだけで
「手」が浮かび上がる

有名なプロ野球選手から
名前や職業を外していくと
最後に何が残る?

これが世界の正体だよ
意味を求めることに心血を費やしてきたが
真実とは意味を葬ったところ、
つまり「無・意味」にある

つまり私が「生きたはずの過酷な過去」
それはそのように思い出すことで
そこに現象化されていたということだ

そんなもの最初からなかったのだよ
愛するというハートがそこにあり
私は妻や子を作った
家族を守るというハートがあり
その熾烈な出来事を作った
そしてそれらはすべて記憶の中だ

目の前で妻が笑う
それも記憶の中
そこにいるのは誰でもなく
私やあなたなのだよ

 

幸せへ戻ろう

おっと幸せの話だったね
本書はよく脱線するから心得ておきなさい

いいかい
ポジティブでもネガティブでも
それらはあなたの中から生まれる

つまり普段持ち歩いているものを
引き出しているに過ぎないということ
外側に求めるものではないのだ

あなたは幸せの魔法を備えている

だからいますぐ、そこで幸せになれるのだよ
幸せへ戻る、そういう表現の方が相応しいがね

本書は最後の数行で書いたことを
延々と繰り返しているに過ぎない

だが現実という強固な妄想を解き放つには
あなたなりの修練が必要だ
無努力に努力する、という修練がね

そのための導きを本書は記しているが
あなたが体感するしかない
その世界が地獄ならば気付く必要がある

地獄は地獄を知らない
知りようがない

それはつまり地獄に溶けるとき
あなたは地獄から解放されるということだ

さあ好きなところから手記をご覧なさい
宙ぶらりんの話ばかりだ
それらの話の決着をつけるのは、
あなただけだ

 

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